若返りと長寿 ふたつのシソ科のハーブ

ローズマリー(学名:Rosmarinus officinalis)と
スイートマジョラム(学名:Origanum majorana)、
今回はこの大昔から薬草として知られてきたシソ科の
2つハーブについてこぼれ話を少々。

若返りのハーブの異名を持つローズマリー
長寿のハーブの異名を持つスイートマジョラム、
この2つ薬草の、ちいさな葉っぱに秘められた力は、
空気中にたちのぼる香りと、
その葉に蓄えられた水溶性の成分によってもたらされます。

ローズマリーの属名(学名の前半分)Ros marinusとは、海のしずく、
後に続くofficinalisと続けて学名全体をみると、
薬効のある海のしずく、または、海のしずくの薬、
といった具合になります。

ローズマリーの葉を指先でこすると、香りを空気中に、いとも簡単に蒸散させます。ローズマリーの香りは、樟脳とユーカリのやさしさをあわせたような様相で、あたりの空気を透き通るように凛とさせます。そして、忘れてしまった生き生きとした記憶力をよみがえらせ、生きるための集中力を高めます。

長らく地上で生きていると、こころも身体もサビが出てきます。

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Rosmarinus officinalis
ロスマリヌス・オフィキナリスは、
ギシギシとサビがまわったこころと身体を開放し、
ぼやけた頭をすっきりさせて、
動かないハートを潤わせ、
倦怠感や疲労感、疲れ果てた顔色をよみがえらせます。
ローズマリーは、地中海沿岸のごつごつとした岩肌が好きで、
海の風を受けながら生き生きとし、
その花は青い海のあわのような可憐さで、
まるで人魚の涙のようです。

ローズマリーが若返りのハーブと今も語り継がれるのは、14世紀のハンガリーの女王が、
70歳を超えたころ、それまでの公務の多忙がたたったせいか、リウマチで寝込むようになり、
それを心配した僧侶により、ローズマリーをよく使うように伝授され、言われるようにしたところ、
リウマチの症状はことごとく本復し、肌はすっきりと明るさを帯び、隣国ポーランドの王子から
求婚されたという逸話から。

ローズマリーは、心臓と肺の脆弱、また老化や疲弊によって引き起こされる倦怠感や治りきらない
風邪の諸症状を穏やかに癒していく力を持った海のしずくです。若々しい心身を取り戻した
ハンガリーの女王エリザベートも、ローズマリーのそんな力を得たのでしょう。

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スイートマジョラム、学名Origanum majorana。
この学名の持つ意味は、長寿をもたらす山の喜び。
ローズマリーのそれよりもやわらかく、丸みを帯びた小さな葉っぱを
手でこすると、香水のような複雑さを秘めたハーバルな香りを持ち、
山の喜びを意味するラテン語の学名どおり、呼吸を深く楽にする芳香を放ちます。

スイートマジョラムが含む香り成分には、テルピネン-4-オール、フェランドレン、α-フムレンなどが見受け
られ、またそれ以外の香り成分との相乗効果も合わせて、空気と肺をきれいにし、気管や血管の詰りを癒す
働きがあります。これを見るだけでも、長寿をもたらす山の喜びという学名を持つ意味が解ります。

ローズマリーと並んで古い時代から大切にされてきたスイートマジョラムですが、そのティ―としての作用も
素晴らしいものです。
スイートマジョラムは、身体のあらゆる部位に蓄積する毒素を排泄し、毒素が血液や神経系統に蓄積し、
心身全般に生じてしまった「詰り」によって起こるコリや痛みに効果をもたらします。
これにより、「詰り」によって引き起こされる頭痛にも活かされます。「詰り」という現象によって起こる
タイプの頭痛は、肩こりや重だるい腰、こわばりやすい手腕、高血圧などが特徴的です。
また、スイートマジョラムは古くから、組織に蓄積した毒素(時に乳酸のような疲労物質など)によって
引き起こされる筋肉痛や筋ちがい、肩こりと腰痛を楽にしてくれるとともに、気管の詰りも取り去るために
活かされてきました。

スイートマジョラムを占星学で分類すると、水星に属します。
水星は、肺をきれいにし、胃の働きを調節します。
ちなみにローズマリーは太陽。太陽は血液の循環を改善し、目を明るくします。
要するに目の疲れに良いということです。

スイートマジョラムとローズマリー、この2つのシソ科のハーブをブレンドすると、血液の循環を健康にし、疲れ果てた胃腸や浅くなった呼吸を楽にする・といったものになります。

夏の疲れを残さぬよう、
秋のこころを低空飛行にさせぬよう、
ローズマリーとスイートマジョラムのブレンドティ―など
秋の食後や夜のお茶にいかがでしょう。

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ダマスクローズのつぼみ、学名はRosa damascena。

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見るに美しく
香るにふくよかで
ティーにすると
心と腸をきれいにし、
白くクスミのない肌にするという
ダマスクローズ。


ダマスクローズのつぼみを
ハーブティーとして内服する時、
そのつぼみの中の雌しべや雄しべ、
固いがくの部分までしっかりと、
熱湯でその成分を浸出させ、
香りを嗅ぎながらゆったりと飲みます。

気持ちがふさいだり、
悲しくなったり、
それともつらい気持ちが
なんどもなんども浮かんできたり…
そんなこころを癒してくれます。

これは、今を生きる私たちだけのものではありません。
古い時代のハーバリスト
そのクライアントであった王や貴族たちにとっても、
ダマスクローズの食養生は、貴重でかつ有用なものでした。

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高貴な姿と香気をもつダマスクローズ、
このバラに魅せられた王や貴族はたくさんあります。
その歴史はとても古く、
5000年以上前のメソポタミアやミノア文明下では、
神々への捧げものとして、
また女神を彩る壁画のモチーフにも使われています。

2000年ほど前のエジプトやローマでも同様でした。
古代エジプトクレオパトラは、
遠くダマスクスから運んできたこのバラと、
はちみつとアーモンドのパックを美容に用いていました。
古代ローマの皇帝ネロは、
バラ風呂やバラ酒、バラのケーキなど、
あらゆるレベルでダマスクローズを用いています。
古代ローマは、
熱狂的な薔薇のファンの多い文明国家でした。
古代ローマの博物誌家プリニウスは、
刺激が少なく薬効性の高いバラ油が、
軟膏や目薬、食用やスキンケアなど
様々な用途に有益であると伝えています。

では、ダマスクローズのつぼみは、
どのように使われてきたのでしょう。
中世から現代にかけての様子を少しのぞいてみましょう。

10~11世紀にかけて活躍したアラビアの錬金術師イブンシーナは、
治療結核患者にダマスクローズの食養生を行うことによって治療していました。
また、中世ポルトガルの副王の妃は、
7ヶ月の間、薔薇の保存食ばかりを大量に食べ続けたおかげで結核が治り、
よりいっそう美しくなったという逸話が伝えられています。
20世紀フランスのハーバリストモーリス・メッセゲは、
彼自身のクライアントの結核を一年間、
ダマスクローズとハチミツだけの食養生で奇跡的に健康にしました。

中世から現代までのダマスクローズの食養生を見てみると、
あらわれてくるキーワードがあります。
それは、「肺」と「血液」の浄化です。

中世から現代にかけてハーバリストたちが活かしてきた
ダマスクローズの食養生をまとめると。。。

ダマスクローズのつぼみは、肺と血液の浄化とともに、
のどと鼻、気管のつまりに大変よく効き、
消化器系の慢性的な炎症や下痢、赤痢にも効果がある。
腸内のアンバランスな菌の状態を改善し、
体細胞全般の炎症を鎮静する。

ダマスクローズのつぼみは、古い時代からこのかた、
こころを癒しながら、肺と腸と血液と肌をきれいにするハーブのようです。

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試していただきたいダマスクローズのつぼみのブレンドティ―

ダマスクローズのつぼみとセントジョーンズワートブレンドして、
目の疲れが気になる時や、ストレスで気持ちが沈んだ時に・・・

ダマスクローズとスペアミントとペパーミントのブレンド
雲の多い日が続き、気圧が低く頭が重い時に・・・